かつての絵画には、やっとの思いで描いてきた名作がありました。
いかに努力して一つの作品が作られたか、その時代を知らない私にとっては完成された画面を見ることでしか読み取れません。
しかし⻑い間見続けると、飄々と描く一本の線にこそ、尋常ではない努力の痕跡を見ることができます。
かつての芸術家が、芸術に対する厳しい目線と己に課した試練を見るうちに、次第に私の中でも芸術に対する強い闘志が芽生えました。
本展では、これまでの画業として制作した夜景シリーズや、丸シールのみで花を描くカルペ・ディエムシリーズを展示します。
そして新たな試みとして、全てカッティングシートで秋冬の花々を表現した作品を新作として発表します。
一連の作品では絵筆を一切取らず、全てシールのみで制作しましたが、その代わりこの創作に至るまでに数多くの絵画に触れ、私なりの絵画に対する敬意を込めました。
そして、筆致の痕跡を残さずフラットな表面にさせることで、色合いのバランスと構図の配置に焦点を当て、あるがままの自然の美しさを情緒的に表現することに挑戦しています。

《コスモス》アクリル板にカッティングシート／制作年：2023年
サイズ：260 x 185mm／©Yukino Ohmura

■受賞歴
2013 年 多摩美術大学卒業制作展 福沢一郎賞 受賞
2012 年 東京ミッドタウンアワード 2012 入選、オーディエンス賞受賞

■個展
2022 年『大村雪乃 シールアートの魅力展』朝日町立ふるさと美術館 富山
2022 年 『View Point-視点-』MU ギャラリー、TERRADA ART COMPLEX II 東京 2021 年 『キセキのシールアート大村雪乃展』ウッドワン美術館 広島
2021 年 『大村雪乃展 OHANABATAKE IN MY HEAD』クレド岡山 岡山
2021 年 『丸シールであそぼう!!巡回展示』エチカ池袋ギャラリー 東京
2020 年 『Christmas Stickation 日本藝術家 大村雪乃』Langham Place 香港 を始め、個展、グループ展を多数開催。